読み物
台峯コラム 2026年(令和8年)01月
台峯の周辺 第2期4(通算26) 台峯の周辺「山崎・台峯」
本田 隆史
私達が長年関わる「山崎・台峯」緑地だが、今更ながらこの読みや漢字は何だろう?この緑地に係る説明会で市担当者が「やまさき」と読んだところ、「『やまざき』だ!」との声が飛んだ。一般に読み方としては両方がある。
安直な調べ方で恐縮だが、Wikipediaによると、名字としての「山崎」は東日本では「ざ」が圧倒的多数派で、西日本では「さ」がかなり優勢とのこと。日本語は語に語が繋がると後ろは濁るもののようなのだが、西日本は一般に濁音を嫌うためらしい。
また、地名としても、掲げられた計20ほどの例は同様で、西日本は和歌山、兵庫などで「さ」である。尤も京都、大阪では「ざ」があり、確かに大阪府の山崎蒸留所製ウイスキーも「YAMAZAKI」だ。逆に東日本の例は全て「ざ」なのだが、何と鎌倉市の山崎のだけが「さ」の例である。

実は、この件は鎌倉市が「さ」と読んでいるのである。市のWebサイト上の「鎌倉市の町名称及び住居表示の実施状況」にも「やまさきYamasaki」とある。
そこで市の市民防災部市民課市民担当に尋ねると、教育委員会文化財課からご親切に直ぐメールが届いた。『日本歴史地名大系 神奈川県の地名』(昭和59年)によると、明治22年に深沢村に統合される以前の「山崎村」の項目は「やまざき」の表記となっており、合併が進む中で変化したのかもしれぬが、詳細は不明とのこと。
本来はひらがなかカタカナ、ローマ字での一次資料があると助かるのだが、漢字表記の史料では読みまで分からぬ。
ところで、Wikipediaの記述は「山﨑」や「山嵜」など「崎」の異体字(同音同義で形が異なる)による表記に及ぶが、「台峯」もかつては「峰」と書いた、との地元意見がある。 「台峯」もしくは「台峰」が用いられた古い一次資料も私は未見なのだが、「鎌倉郡山崎村誌(明治12年、平成4年刊『鎌倉市史』近代資料編第二所収)」には山崎村の山は「台峰山トイフ」と記載されている。
しかし、文化財課によると、『深沢村全図』(昭和11年)では「台峯」との表記なので、昭和初期にも「峯」が使用されていたようだ、とのこと。

<深沢村全図 部分>
また自分でも同じ例を昭和4年で見つけたが、そこでは他にも「峯山」などの小字あり、当時は一般にそうした文字使いをしたのかもしれぬ(「神奈川縣鎌倉郡深澤村地番反別入図」)。
以上、結論には至らぬものの、時と共にかつての「やまざき」「台峰」から次第に現在の「やまさき」「台峯」に置き替ってきたような感を受ける。字(あざ)名や公園名などの公的な扱いにより固定した可能性はあるが、読みにしても漢字にしても地名というものは、より広く言うなら言葉は、生きているのだろう。
印刷用原稿:台峯の周辺「山崎・台峯」(PDF版)
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