北鎌倉 台峯とは
横須賀線の北鎌倉駅から西側にある東慶寺、浄智寺などの、その奥にある緑が台峯です。北鎌倉は夏目漱石、小津安二郎、北大路魯山人らが創作に勤しんだところですが、古寺に代表される歴史・文化とともに、台峯のような自然があったからこそ、彼らの世界的な作品群が生まれたといえるでしょう。 そこには、遠く三浦半島の先まで繋がる「緑の回廊」の一部として約30haの里山が広がっており、東に円覚寺やその裏の六国見山、北鎌倉駅の辺りなどが、西には富士の景観が望めます。また、隣接する鎌倉中央公園の花壇や田畑とともに、半ば蕪(あ)れなんとする田園としてグラデーションのある自然を形成し、草むら、樹林、池、湿地、川などに様々な動植物が息づいています。 それでは、皆さんに台峯の見どころをご紹介しましょう。
主な見どころ
註:文中<>内は「山崎・台峯緑地 案内マップ」(鎌倉市のHPや緑地内案内板にあるもの)上の項目であることを示します。
1.台峯までのご案内
台峯までの地図
多くの方が利用される北鎌倉駅からですと、まず駅の西側、つまり円覚寺山門とは反対側の改札口から出て頂き、駅広場の前のバス通りを渡って交番右脇の細い人道を辿っていきます。周りに和風の美しい庭や家が続きますが、これが一つの見ものです。
やがて山中稲荷社を過ぎ、車も通る道に出るので、左に向かうと両側に山が迫り川も流れていて自然を楽しめますが、しばらくして左の脇道を上がると「山ノ内東瓜ケ谷緑地」です。近所の方が様々な野草を手入れして下さって、名前も付されているので助かります。
道に戻って歩くとすぐ、右に今や珍しい田んぼが広がっています。水面には水生の動物、畔には水辺を好む植物、また空にはトンボや鳥類などが見られるかもしれません。
この道をそのまま進んでも結構ですが、左に空き地があり石材など積んであるあたりで右に折れて狭い階段を登ると近道で、先ほどの車の通る道に再会します。この道を右に辿って上ると、やがて左側下に樹林、右側は崖があって山になりますが、この辺りは先年開発されそうになった際に、当基金が1,354万円を寄付したことが呼び水となり、市が買取りを決定、「緑の回廊」が途切れずに続くこととなりました。
2.台峯緑地の入り口
まもなく<山ノ内配水池>の手前で、右側に奥まってある新しい建物が<山崎・台峯緑地南管理事務所>です。
ここが<山崎・台峯緑地>の始まりで、大きなマップの案内板(「山崎・台峯緑地 案内マップ」) が立っていますし、緑地内には標識が完備されているので、このあとの道案内はなるべく略します。なお、水の補給やトイレはここで済ませておきましょう。 事務所向かいが<富士山の展望地>で、
そのそばのオオシマザクラはこの辺りで一番早く花を咲かせると言われています。(写真)
3.<円覚寺・六国見山の展望地>へ
事務所脇の道を上り登気味に歩いてっていくと、右側の人家が切れたあたりに「NPO北鎌倉台峯トラスト」と書かれた物置がありますが、これは当会基金の「山の手入れ」用作業道具置き場で、月々の「山歩き」などの行事案内も貼ってあります。 その先に進み、右側に遠くの山並みを眺め、更に桜の下を歩く気持ちの良い山道を上り抜けてからベンチ脇の三叉路を右にとり、右の土手に上がると一挙に展望が開けて円覚寺や六国見山などの眺望が楽しめます。
4.<谷戸の池>へ
三叉路に戻って、「谷戸の池」と書かれた方へ向かい、しばらく山道を歩くと湿地に出てき、台峯を代表する<ハンノキ林>の脇を進みます。それぞれの季節や場所に応じた種々の動植物が皆さんを迎えてくれるでしょう。例えば、初夏の夜はホタルが見られます。
左に現れた<谷戸の池>はもともと農業用のため池だったのですが、数年前に堤防が改修されて今や亀やカモ類の住処となり、カワセミの姿も良く見かけます。
ベンチで一休みされては如何?
5.<山崎・台峯緑地北管理事務所>
道を続けると、相変わらず左はハンノキやセリなどの湿地ですが、次第にオギやアシ、更にはササが増えてきます。そこに棲息しているカヤネズミは今や希少な存在で、おそらく鎌倉ではここだけとされます。でしょう。 やがて右側に民家が現れ、ベンチや水飲み場、案内板の脇を通ると、<山崎子ども会館入口>を経て一旦一般道路に出ます。右に<山崎小学校>、左が<北大路魯山人旧住居地>で、かつては料理や陶芸に励んだ「其中庵」がありました。(写真)
建物は残っていませんが、往時の雰囲気が偲ばれます。また、イサム・ノグチと山口淑子(李香蘭)のカップルもその離れで新婚生活を送ったのでした。奥には<山崎・台峯緑地北管理事務所>があるので、またトイレや水道水などが使えます。(写真)
6.帰途
モノレールなどで帰られる場合や、<鎌倉中央公園>に寄られる場合は、適宜案内板や適当な地図でご確認下さい。横須賀線北鎌倉駅に戻られる場合は、右に小学校を見ながら道を辿っていくと、左に高い崖があり、かつては「山崎の切通し」だったのですが、小学校開設時に片側は平地になりました。その先はいくつか選択肢がありますが、いささか味気はないものの、一番簡単なのはバス通りに出てしまうことで、右に行けば北鎌倉駅に着きます。駅を出発してから駅に戻るまで、歩くだけなら2時間程度だったでしょうか。
7.他ルート
なお、ここまでのルートはおおむね川沿いに谷筋低地を歩いてきましたが、まだ元気がおありなら、尾根道の他ルートを辿って戻ることもお薦めです。 北鎌倉駅へ向かう道の途中、小学校を過ぎたあたりで右にコンクリ舗装の坂を登れば、それが<山崎小入口>(写真)で、稜線の桜、頂上近くでは小学生が守っている野草などを見つつ、<北鎌倉女子学園グラウンド>付近に戻ります。 また、もう一つ、反対に小学校からは西寄りの<谷脇入口>を通ってへ急坂や階段を上って、<鎌倉中央公園>との間の稜線沿いに歩けば、大蛇(おろち)桜(ざくら)(ヤマザクラの大木)(写真)
などに見とれつつ、<梶原入口>に出ることになります。 安全な道ですが、では、どうぞお気をつけて。
北鎌倉台峯 緑の会 事務局
照会先(山歩き関係)本田方 電話090-6502-2470
(山の手入れ関係)出口方 電話090-1404-5611